美を編み直す

破壊と再生の星である冥王星の水瓶座入りは、約240年ぶりであり、その間の近代文明(その中から生まれた芸術)が崩れ変貌つつある現在、これまで縛られてきた固定概念から抜け出す前に、現状の崩壊過程を独自の感覚で追っていくことにしたい。なお、風水では『三元九運』という180年のサイクルで運気が流れていると考えられており、その内20年間ずつ9つの時代に分けて、最後の20年間の始まりである第九運(九紫火星の時代)は2024年の立春から始まり、そこから運気が変わり、精神性や美的センス、知性などがこれからより重要視されるようになる。時代の最終章であり、新しい時代の幕開けの準備でもあり、これまでの様々な虚構が暴露、崩壊していく中、精神性、霊性から美を見つめ直し、とらえ直していくことで世界の変容を実感していきたい。
18世紀あたりからの啓蒙主義、哲学者により、真と善は、神ではなく人間の理性と悟性のなかにその成立基盤が見いだされたように、「美」も人間の「感性」のなかにその基盤が求められるようになった。つまり、神ではなく、人間が正義を判断し、真理を発見し、美の創造者となった。近代思想が虚構として創り上げてきた虚構としての「芸術」の観念とこの観念信奉の出発点にあるのは、美学と美術史研究だった。アートはその美術史という虚構の上に成り立っている。19世紀にブランド化したアートは共有される制度と成り、アーティストという概念が誕生した。さらにデュシャン以降の現代アートでは作品そのものよりも、なぜその作品に価値があるかを説明するコンセプトのほうが重要となり、ひいてはそれを考えたアーティストが最も顕彰されるというブランド化が進行した。現在この流れも限界に達し、これからは理性と合理性だけのコンセプトではなく、すべての人間は神であり、その精神的、霊的なものによる美が重要となってくるだろう。